2014年07月24日

581)企業が作る絵本:日本と海外の違いについて

夏休みになって子ども向けイベントがあちこちで開催されています。
そんな場所を、てくてく巡っていると無料で企業から配布される子ども向けの絵本が目につきます。最近、どんどん増えているように思います。

そして、正直申しまして、そのほとんどが読まれることもなく廃棄されるのでしょう。
だって、内容がつまらない。分からない。子どもが興味を示さない。絵本の専門出版社だからではなく、子育て母の目線からでもそう感じます。
そしてそんな、トホホで立派な絵本が出来上がってしまう理由に、<3つのアバウト>が原因ではないかと、企業や代理店の方の参考にしていただければと思い書いてみました。


【その理由1】配布対象者がアバウトすぎる

 作られた絵本の読者対象があまりにも漠然としていて、渡された子どもの多くが共感できないことです。私が絵本を作る際に重要と考える要素の一つに、対象読者の理解があります。本に描かれている場面(舞台)が、子どもの頭の中で想像されることで記憶に刻まれ、共感できる作用があると考えます。逆に想像できなければ、子どもにとって訳のわからない役に立たない絵本ということです。
 子どもの理解力への対応として制作現場では、「難しい言葉を使わない」と言われることが多いのですが、子どもは難しい言葉には意外に柔軟であったり、大人の読み聞かせで丸覚えしたりします。ピンポイントで現れる理解不能な言葉よりも、その言葉が使われている物語の設定が分からない場合、全く興味を示しません。逆に、物語の設定が自分の理解力よりも低い場合も同様です。子どもの理解力の目安に年齢というものがあるので、絵本を作るときには対象年齢への意識を持ったほうが絶対によいです。絵本だからといって、すべての子どもが対象にはなりません。もちろん、そういう絵本も存在しますが、それはもうすごい作家の才能と長い年月の中で培われた風土から生まれるもので、企業プロモーションの絵本で求めるには、ハードルが高すぎます。


【その理由2】広告なのか?純絵本なのか?立ち位置がアバウトな絵本

 海外でも企業がPRのために絵本を作ることがありますが、子どもを対象とした場合、必ずと言っていいほど専門家が監修や編集に参加します。昨今企業の社会的責任などが強く求められる中、子どもに配る物への配慮は日本と比べものになりません。企業のカラーを強めればと強めるほど、子どもに投げかける一言一言に責任が発生するという強い意識があるのです。
 そういった社会の状況もあって、児童の心理や教育といった関係のある専門家が、絵本の編集者と議論を重ねて、企業の持つ価値観を言葉や絵で表現していきます。企業にとっても信頼できる絵本を作ることが重要で、安心して保護者も子どもに手渡すことができるわけです。ですので、海外の場合、企業が制作した絵本でも一般書籍として販売している本が多いのです。
 純粋に企業PRを目的とした絵本は、企業名やロゴがドンと入っていて、これは「広告です」としっかり伝えているはずです。広告か? 純絵本か? をあいまいにした日本の絵本も今後、こういった観点で問題視されるかもしれません。


【その理由3】お金を出す側と作る側の意識でアバウトな展開に

 発行が出版社であっても、配布物であっても、それが広告か純絵本かといった、日本の絵本の不明確な立ち位置との関係が、作り方にも影響しています。
 「絵本」と「企業」を結び付けたプロモーションは大体企業の広報と代理店との間でブレストされ、その本を作るために、これくらいの費用でと企画と予算が固まってきます。この企画を立て予算を決めるところに、絵本制作の知識がほとんどないこと(必要もないでしょう)、そして絵本の有識者が少ない会社が進行管理をしていることが多いのです。絵本専門の出版社であれば、これまでの経験からやりとりの中で、本の狙いに対し、予算も含め何が可能・不可能が判断できますが、知識と経験のないところでは、やはり難しいと思います。

そして、実際の制作に入ると、
1)自社サービス商品のPR >を
2)子どもの笑顔と将来の人材育成 >とむすびつけ
3)企業イメージと社会的貢献度UP >しよう

という立派な企画趣旨が、お金を出す側とお金を受け取る側の主従関係となって展開案にどんどん影響してくるのです。きっと最初は素晴らしい狙いがあったのだろうな、とその企画の影が浮かび舞台裏の苦悩が読み取れる企業絵本に出会うことがとても残念です。
 結局のところ、日本では企業プロモーションとして位置づけられた絵本には読み手よりも、クライアントの満足度が意識され、実際に子どもや保護者が手にとったときに、大きなクエスチョンマークが頭に浮かぶのではないでしょうか。
 イベントなどで配布した際に、評判が良かった、たくさんの人が受け取ってくれたといったフィードバックがクライアント側に行われるのでしょうが、それは子どもがイベントで「モノをもらうことのうれしさや楽しさ」であって、絵本の評価ではないと見受けられます。


【まとめ】自分が親だったらこの絵本を読ませるか?この絵本を子どもが読むか?

 冷静になって考えてみれば、良質な製品を好む日本人にはすぐに判断がつくのではないでしょうか?また、絵本であっても倫理的な観点は必要です。いえ大人の本よりももっと必要なのではないかと思います。 
 広告か否かで、表現は限りなく違ってくるということも企業広報は理解して作らなければならない時代です。1)自社サービス商品のPR を 2)子どもの笑顔と将来の人材育成 とむすびつけ 3)企業イメージと社会的貢献度UP しよう という立派な企画趣旨をまっとうした絵本を妥協せずに作っていただければ、アイデアいっぱいだけど、お金がなくて実現できない!!!という、うちのような貧乏出版社にも希望が持てます。

 誤解のないように、最後に言いますが私が言いたいのは、企業は本を作るなということではないのです。ぜひ、企画会議に呼んで下さい。これからのグローバルな企業絵本作りのお役に立てると思います。

 なんだ、結局自社の宣伝じゃん…。 って思わないでね(^0^)  


Posted by 株式会社マイティブック    松井紀美子 at 12:52Comments(0)マイティブックについて

2014年07月23日

580)図書館の学校 今月はスペインの書店さんです!


公益財団法人 図書館振興財団発行の機関誌『図書館の学校』で連載している世界の図書館、2014年夏号から3年目を迎えました。今年は少し視点を広げ、図書館と連携する本のある場所にもフォーカスしようと思います。その第一弾が、スペインの書店さんです。
書店の持つ長年の技術で図書館や顧客と連携する取り組みに、カフェ風とかギャラリー風とか、すぐに誰でも出来るものじゃない、書店は本当は技能集団なのだということを知りました。

興味のある方、ぜひお読みください。よろしく~~。


http://www.toshokan.or.jp/owl/
  


Posted by 株式会社マイティブック    松井紀美子 at 12:17Comments(0)マイティブックについて

2014年07月22日

579)「外飯母子」も遠い日の夢 

子供の夏休みがはじまりました…。
寮生活の息子も戻ってきて久しぶりの3食ご飯作りです。
子供が小さいときどうやっていたんだろ?と思うくらい面倒です。
ちょっと前は手抜きの「外飯母子」という手もあったのですが、最近はもう母親とのご飯はありえない、と全身で息子に拒否られたりします。

子育て直下の皆さんのご苦労は察しますが、今振り返ればとても楽しい時間でした。
真夏の暑さに、バテそうな時に子どもと公園で食べたアイスクリームの味を思い出しながら、梅雨明けマジかな空を見上げております。

そういえば、最近スーツで働く女性、少なくなりましたね。以前はスーツ姿でベビカーを猛ダッシュで押し保育園に行くママを(自分も)よく見かけましたが、今は本当にカジュアルです。ここ10年で本当に環境の変化を視覚からも感じますよ。
  


Posted by 株式会社マイティブック    松井紀美子 at 10:35Comments(0)子育てノート「毎日がファンタジー」